SKA計画
Square Kilometre Array (SKA) 計画は、最終的に1平方キロメートル(百万平米)の集光面積を持つ、世界最大の電波望遠鏡を建設する国際的な試みです。その壮大なスケールは、ユニークな装置を作り届けるための研究開発の大躍進を表し、現在順調に進行中の詳細なデザインと準備を伴っています。人類史上最大の科学的な挑戦の一つとして、SKAは計画を実現するための世界最高の科学者、技術者、そして政策立案者の英知を一つにしようとしています。
空前のスケール
SKAは最終的に何千台ものパラボラアンテナと最大で100万基のアパーチャアンテナを用いる予定です。それらは未だかつてないほどに詳しく空を観測し、現存するあらゆるシステムよりもずっと早く走天することを天文学者に可能にするでしょう。SKAの唯一無二の構成は、観測において他の追随を許さない適用範囲を与えます。例えばハッブル宇宙望遠鏡の画像分解能を遥かに上回るでしょう。
並行して膨大な視野を撮像する能力を持つと共に、どんなサーベイ望遠鏡も達成したことのない偉業をこのスケールとこのレベルの感度で達成します。今後数10年に作られ宇宙に打ち上げられる可視光・赤外線の大型望遠鏡の時代に、SKAは完璧に増強・補完し、科学的な発見を導いていくでしょう。
共催
南アフリカのカルー地域と西オーストラリアのマーチソン州の両方が、多くの科学的・技術的な理由で共催地として選ばれました。そこには大気の状態から電波の静寂さまでの理由があり、とりわけ砂漠地という地球上で最も人里はなれた土地のいくつかであるということに由来しています。
南アフリカのカルー砂漠は中高周波(センチ波)のパラボラアンテナの中心部を招致します。それは究極的にはアフリカの国々に広がります。オーストラリアのマーチソン州は低周波(メートル波)のアパーチャアンテナを招致します。
グローバルな取り組み
10のメンバー国がSKAの主体であると共に、およそ20カ国に広がる100近い組織がSKAの設計と開発に参加しています。SKAが要求する性能を達成するために世界をリードする科学者と技術者が設計開発しているのは、2015年に実在するどのスーパーコンピュータよりも高速な高性能計算技術と、地上全部のインターネットよりも多いデータの往来を可能にする情報通信技術です。
段階的な開発
SKAは段階的な時系列に沿って開発される予定です。建設前段階は2012年に始まり、そして2010年代後半までに終わる予定です。SKAの第1段階の準備を終えるのに必要な、詳細設計、施工、研究開発、そして規約の用意を建設前段階は含んでいます。
SKAの大部分は2018年から2020年後半までの2つの主要段階の中で建設される予定です。第1段階は「コンセプトの実証」という作法で、最終システムのテストを含んでいます。
SKA第1段階では、オーストラリアは低周波アパーチャアンテナ250基程度を含んだ局を500局以上主催します。南アフリカは64台のMeerKAT試験機アンテナを含んだ200台程度の中高周波パラボラアンテナを主催します。
第2段階では両方の建設地で望遠鏡配列を完成させる予定で、それは2020年代後半に完全に運用可能となるでしょう。その時までにSKAは2000台程度の中高周波パラボラアンテナ、中周波アパーチャアンテナ、そして100万基の低周波アパーチャアンテナを数え上げます。
SKAは一部のアンテナを使って2020年から初期の科学観測を始める予定です。
望遠鏡と配列
机上の図版から現実のものへと今動き出しています。SKAの主要な装置はパラボラアンテナ、低周波アパーチャアンテナ、そして可能性として中周波アパーチャアレイを第2段階に含むでしょう。
SKAの費用
2013年7月にSKA理事会は以下の決議を通しました。
「SKA機構長の提言を参考に、SKA理事会は6.5億ユーロの建設経費上限を前提としてSKA第1期の設計ならびに建設を進めるようSKAオフィスに指導した。この経費上限に合わせたSKA第1期計画(設計と建設)の展開は、SKAオフィスが手がける科学・技術の基本設計アセスメントに導かれ、SKAのコミュニティや科学技術諮問委員会(SEAC)を含めた諮問組織の協力を仰ぐ。この決定は変革的な科学を可能にするエキサイティングな次世代望遠鏡を建設するという、主たる目的と一貫している。」
成功裏の再ベースライン過程に従って、SKA第1期のデザインは今おおまかに確立され、そして経費上限の範囲内にあります。チームは今建設に向けて設計の洗練に取り組むことができます。また各要素が仮設計審査を受けた今、必要な経費がさらに洗練される予定です。
完全なSKA (SKA第2期) の建設と運用の経費はまだ確立されていません。どのような見積もりも技術に支持された経費に基づかなければなりません。いくつかのSKA第2期に計画されている成分は依然として複数年の設計過程の初期段階にあり、製造、導入、そして運用の最終的な経費は現時点では不明です。完全なSKAの建設経費は従って、信憑性のある見積もりが詳細な技術そして設計の行程にもとづいて確立し次第、理事会に示されるでしょう。SKA第2期の科学目標がさらに開発されるにつれて、見積もりは精錬を求めるかもしれません。
試験機
SKAが運用に至るよりもずっと前から、試験機で知られる一連の先行・開拓望遠鏡とシステムがすでに世界中で運用中であったり開発中です。SKAが膨大なデータを科学者にもたらすことのできるようにするために開拓する必要がある技術は多岐にわたります。試験機はそれらの開発に道筋を敷いています。
鍵となる科学目標
SKAは革新的な科学を実施することができるようになり、天文観測に新しい大地を切り拓くことでしょう。科学者はSKA望遠鏡にふさわしい様々な主要科学目標に着目してきました。そして科学目標の達成は、私達の宇宙への理解を再定義するでしょう。
アインシュタインの独創的な相対性理論に限界まで挑戦することから、まったく詳しく観測されたことのないどのようにビックバン後に宇宙最初の星や銀河が作られたのかを探り、ノーベル物理学賞を得た宇宙膨張の発見と関係する暗黒エネルギーという得体のしれないものの性質を理解することを助けながら、宇宙を満たす広大な磁場の世界を理解して、そして人類にとって最大の謎である私達は宇宙でひとりぼっちなのか・・・と、SKAは全くもって科学研究の最前線を切り開いていくのです!
初期科学運用は一部のアンテナアレイを使って2020年から開始されると期待されています。
SKAのメンバー
10ヶ国からなる組織がSKA機構のメンバーです。それはオーストラリア、カナダ、中国、インド、イタリア、ニュージーランド、南アフリカ、スウェーデン、オランダ、そしてイギリスです。この全地球的な機構は非営利団体のSKA機構が管理し、SKA機構は英国のマンチェスター郊外にあるジョドレルバンク観測所にある本部を有します。SKAに加わる国々の詳細は参加国ページをご覧ください。